フィレンツェだより
2007年8月2日



 




新寓居のリヴィングの窓から
周辺風景



§引越し

ポンテ・アッレ・モッセ通りに引っ越した.旧城壁の跡にできた周回自動車道の外側で,昔の城門の一つであるプラート門を出て,すこし歩いたところにある.


 中央駅には近いし,現在は立派に市街地だが,昔なら城壁の外側なので,郊外ということになるかも知れない.旧市内側からプラート門までがプラート通りで,城門をくぐって,そこから先がポンテ・アッレ・モッセ通りとなる.

 見た感じはヴェンティセッテ・アプリーレ通りと大差はないが,夜はこちらの方がはるかに静かであるように思える.ヴェンティセッテ・アプリーレ通りは周囲にホテルが多く,キャスター付きのスーツケースを転がして石畳の上を行進するゴロゴロ隊と,遅くまで開いているバールの店じまい後に道に出て大声で騒ぐガヤガヤ隊が大活躍する通りだった.



 3戸の集合住宅の,日本風に言うと2階で,1階にお住まいの方の裏庭と,近所のお宅の植栽が見えて,北向きのリヴィングは大変環境が良い.

 リヴィングの他に,寝室ともう一つ個室がある.ここには机があり,本棚も置いていただいたので,ここを書斎として仕事をすることになると思う.この部屋は交通量が少なくない通りに面しているものの,サッシの窓なので,車の騒音などはほとんどカットされる.






 7月まで住まわせてもらっていた家は相当昔に建った建物であり,天井や壁に残るフレスコ画など,当時の面影をなるべく残すように配慮しながら大事に住まわれてきたものなので,古くからある「イタリアの街中の家」に住むという貴重な体験をすることができた.

 新しい寓居も街中の家で,建物もかなり昔に建ったもののようだが,内装と設備が新しいので,便利に清潔に暮らすことができ,快適な生活が予想される.これもまた大変ありがたい家だと思う.






 白い漆喰の壁や,梁をわざと見せる天井など,インテリアの随所にイタリア的と言えば良いのか,南欧的と言えば良いのか,日本とは違う要素が見られる.


アランチャ・ロッサの100%ジュース
 8月1日は引越しの後片付けに費やした.前回,アランチャ・ロッサの100%ジュースにまだお目にかかっていないと書いたら,引越しの際,エッセルンガ・ブランドの100%アランチャ・ロッサのジュースをプレゼントしていただき,渇いた喉を潤してくれて大変美味だった.新しい寓居の近くにもエッセルンガがあるということだったので,是非買い物の際に購入して来ようと思った.

 片付けが一段落したときにはもう夕方になっていたが,少し日が落ちるのが早くなったとはいえ,まだ6時は明るいので,食糧を調達しに,早速買い物袋を持ってエッセルンガまで歩いて行った.

 私たちが住むことになった通りと平行している,ひとつ北の通りをひたすら西進すると大きな看板が見え,さらにその一つ北の通りにエッセルンガはあった.これまで通ったマザッチョ通りの店舗より少しだけ小ぶりだが,買い物客で大いに賑わっている.引越し直後の買出しなので,とりあえず今晩の夕食の食材優先ということで,それほどスッコ探しには時間をかけられなかったこともあるかとは思うが,アランチャ・ロッサの100%ジュースは見つけられず,幻の商品のままになってしまった.


中央市場に遠征
 2日は午前中の早い時間に中央市場に行ってみた.やはり野菜はスーパーよりも「オッチャンの店」がずっと良いように思えるし,パンとケーキは是非パニー・ダ・ローリーで買いたいし,ワイン屋で日本人店長からワインのことも教えてほしい.少し遠くなったので前ほど頻繁には通えないが,これからもできれば3日に一度くらいは行きたいと思っている.

 日なたを歩けばまだまだ消耗するので,できるだけ日陰を選んで,少し早足で歩いた.駅周辺と露店街が人通りが多く,難所である.片道25分くらいだった.

 ズッキーニ3本,ルーコラ3把,トマト5個,サラダ菜1個,玉ねぎ大2個,豆半キロ,合計7ユーロ強,パン屋でセーガレ(ライ麦パン)1本,パイ4枚,トンド(丸型)のケーキ半分,合計10ユーロ強,ワイン屋で赤2本(値段の折り合いがつけば,名前で選ぶ時があり,ポントルモという名のワインを1本)と白1本で,まけてもらったので計17ユーロ.合計約25ユーロの買い物をして帰ってきた.


イル・チェントロ
 お誘いいただいて,8月7日から南イタリアのレッチェに行くので,2日の夕方は,電車の切符を予約しに中央駅まで行った.

 帰りは4時をだいぶ過ぎていたけれども,途中にいくつかある教会は全て閉まっていて,どこにも寄ることができなかった.代りに,伝アンドレーア・ロッビア作の聖母子などのタベルナコロを写真に収めながら帰路を辿った.

 途中,プラート門の近くのスーパー「イル・チェントロ」に寄った.エッセルンガやコープのような大店舗ではないが,市街地のあちこちにあるチェーン店で,日本でいうとコンビニのイメージに近い.少し割高で品揃えも今ひとつかも知れないが,ともかく近いのは有り難いので,前の寓居でも,近所のアカデミア美術館の向かいの店を時々利用していた.「ヴァルダルノのルネサンス」のバス・ツアーに行った時,レッジェッロに大きな「イル・チェントロ」があるのを見たので,あるいは郊外型の大型店舗展開もしているのかも知れない.

 ここで,今まで中央市場で2本ずつこまめに買っていたミネラルウォーターを1.5リットルのボトル6本セットで3ユーロ強,ワイングラスの3個セット3ユーロ強,ワインヴィネガーを一瓶1ユーロで,合計7ユーロ強の買い物をして帰宅した.水のような重いものは近くに店があると助かる.

 李慶餘飯店のようなきれいで安い中華料理店は今のところ近くでは見つけていない.今後も滞在月数更新記念日には李慶餘飯店まで遠征するかもしれない.あの店の雰囲気も,ヴェンティセッテ・アプリーレ通りも好きだから.





暗く見えるが
実は明るく快適なリヴィング