フィレンツェだより |
サンタ・マリーア・マッダレーナ・ デ(ーイ)・パッツィ教会 |
§フィレンツェ,七夕
堂内に入ると,中央祭壇や会衆の席に白い花々が飾り付けられていた.じきに結婚式が始まるようだった.オルガンとヴァイオリンの演奏者がやって来て,リハーサルを始めると,百合の香りが漂う中をバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタや様々なオルガン曲が響きわたった.
天井画も壁面のフレスコ画もマッダレーナ・デ・パッツィのエピソードを描いたものが多かったが,肝心のペルジーノは,この結婚式のためかどうかは分らないが,扉の前に「ペルジーノのフレスコ画はキウーゾ(閉まっている)」という貼り紙がしてあり,この日は見ることができなかった. 市が立てた説明看板に他に見るべきものとして挙げてあったのが,コジモ・ロッセッリの「聖母戴冠」だが,それはチャペルで見ることができた.
勉強不足だったが,芸術作品の保存を支援している銀行が立てた説明看板とウェブページによると,他にも名前をよく聞く作家の板絵やフレスコ画がかなりあるようだ.今度ペルジーノのフレスコ画を見せてもらえた時に,他の作品もじっくり鑑賞してきたい. 帰りにサンティッシマ・アヌンツィアータ教会に寄って,アレッサンドロ・アッローリの「最後の審判」とペルジーノの「聖母被昇天」を確認してきた.
![]() 教会は窓からの光線の入り具合によって,明るさ,印象が相当変わる.前者はお祈りが行われていたので堂内は遠慮して,「奉納物の小開廊」でアンドレア・デル・サルト他のフレスコ画を鑑賞した.午前中のやさしい光が,どの絵も美しく見せてくれた. サン・マルコ教会でも後陣や,内陣脇の礼拝堂でアレッサンドロ・アッローリ,ポッピ,ナルディーニの板絵とパッシニャーノのフレスコ画を確認することできた. サンタ・トリニタのスピネッロ スピネッロ・アレティーノのフレスコ画がフィレンツェで見られる場所がもう一箇所あることがわかった.サンタ・トリニタ教会だ.先日スコローピ教会の前の露店の古本屋にサンタ・トリニタ教会を扱った大きな本を見ていたら,スピネッロのフレスコ画が紹介されていた.ウェブページで確認したところ,ピストイアのドゥオーモで名前を知ったジョヴァンニ・ダル・ポンテの剥離フレスコ画もあることがわかった. ![]()
隣のバルトリーニ・サリンベーニ礼拝堂のロレンツォ・モナコの祭壇画「受胎告知」は,以前から注目していたが,今回のフレスコ画確認の一環として,この礼拝堂にかなり良い保存状態で残っているフレスコ画「聖母マリアの物語」をしっかり鑑賞した.この作品に関しては,よく読むとガイドブックに出ていた. ルーカ・デッラ・ロッビアが装飾した墓のある別の礼拝堂では,ジョヴァンニ・ダル・ポンテの「聖バルトロマイの殉教」を見ることができた.この聖人が描かれるときはアトリビュートとして刃物を持っていることが多い.それは皮を剥がれて殉教したからだが,ダル・ポンテの絵柄も残虐なもので正視に堪えなかった. サンタ・トリニタ教会にはガイド・ブックには載っていない傑作が数多くあり,訪れるたびに新たな発見がある.下の写真は入口から向かって左側の最初と2番目の礼拝堂で,それぞれ3枚ずつ板絵がある.左側正面はエンポリの「受胎告知」で,これは傑作に思えた. 右側の礼拝堂の正面の絵はアントーニオ・デル・チェライオーロの「シエナの聖カテリーナの神秘の結婚」(1560)で,同じ題材の板絵がサン・マルコ教会でも見られる.この絵の左側の壁にはリドルフォ・デル・ギルランダイオの「聖ヒエロニュモス」がある.
![]() イタリアは7月が一番平均気温が高いようだし,学校はすでに夏休みなので,街の住民たちはヴァカンスに行っているのかも知れない.夜9時でもまだ明るい.
サンタ・トリニタ教会から帰ったら,洗濯物を干す中庭側の窓から入ったのか,部屋の中に雀がいた.居間にある鉢植えの木(2メートル以上ある)にとまって,少し若芽を啄ばんでいたが,やがて刺激しないように静かに開け放ってやった窓から出て行った.可愛かったが,逆光で写真が撮れず残念だった. |
サンティッシマ・アヌンツィアータ教会の前から 広場の先にドゥオーモを望む |
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