フィレンツェだより
2007年4月8日



 




復活祭の山車
(「祭りの後」)



§復活祭に出遅れる

今日は復活祭(イースター/パスクァ)だ.


フィレンツェではこれを祝って,中世以来の伝統の山車(スコッピオ・デル・カッロ:直訳は「車の爆発」?牛の牽く山車に爆竹がついているのだそうだ)が出て,行列が練り歩き,ドゥオーモ(サンタ・マリーア・デル・フィオーレ教会)の前の広場で花火を使った儀式がある.

 妻が語学学校で聞き込んできた情報によると,早めに良い場所を確保しないと花火の儀式などは見られないらしい.行列の経路や時間などは,インターネットで予め確認できたようだが,生来ものぐさなのと,人ごみが苦手なので,何となく「見られるなら見ても良いかな」と思っているうちに当日を迎えた.

 今日は完全休日だし,昨晩,復活祭前夜にローマで行われた教皇司式のミサをテレビ(イタリア人はラティヴLa TVというと,妻が語学学校で習ってきた)で見ていて,聖人の名前が読み上げられた後,TVの中の会衆と一緒に「オーラー・プロー・ノービース」(われらのために祈りたまえ)などと唱えていたりしたため,朝なかなか起きられなかった.

 結局,ドゥオーモ前の広場に行くことは行ったが,行列も儀式も終わった後で,まだ残っていた山車を群衆が取り囲んで見ているところに遭遇しただけで終わってしまった.

まさに「祭りの後」
である.


 それでも山車を白い二頭の牛が牽いて行くところ(実際は動力車が牽引)を見ることができたし,普段から人の多いフィレンツェでも,多分これだけの人出は珍しいだろうから,雰囲気は味わえた.

 寓居からドゥオーモまでの道は,行列の経路とは関係なかったようで,たいした人出でもなかったので,“これなら祇園祭や浅草三社祭のほうが遥かにすごいな”などと言っていたのだが,ドゥオーモからアルノ川方面の道の混雑ぶりは大変なものだった.


ミケランジェロ広場
 午後はヴェンティセッテ・アプリーレ通りをサンティッシマ・アヌンツィアータ広場まで行き,フィレンツェ大学言語学科のあるブルネッレスキ広場を通って,エジーディオ通りからヴェルディ通りまで出て,サンタ・クローチェ教会を横目に見ながら,グラーツィエ橋を通ってアルノ川を渡り,ポッジ広場まで東に進んで,そこから小高いミケランジェロ広場まで登った.

 昨年9月のローマ旅行で,一日だけフィレンツェを訪れた時は,中央駅からバスに乗って登ったが,降りるのは徒歩だったので,大体のことは分っていて,苦もなく登って行く.

 ミケランジェロ広場は,ヴェッキオ橋をはじめ,主な観光名所を一望できる絶好のスポットだ.観光客に溢れているのは無理もない.

写真:
アルノ川の眺め
ヴェッキオ橋の向こうに
サンタ・トリニタ橋
カッライア橋


 眺望を堪能してから,川沿いまで降りて,昨年も歩いたサン・ニッコロ通りから,バルディ通りを西進する.日のあたらない暗い通りだが,教会や古い邸宅(パラッツォ)があり,歴史を感じる通りである.向かって左側の山手の方にはバルディーニ庭園やベルヴェデーレ要塞など,時間のある時に訪ねてみたい場所もあって,所々から人が降りてくるのに出会う.

 ヴェッキオ橋の方からわらわらと群集が押し寄せてくるグィッチャルディーニ通りを横切って,サンタ・トリニタ橋まで歩き,そこでアルノ川を渡って,サンタ・トリニタ(聖三位一体)教会に向かった.


サンタ・トリニタ教会
 大きくて暗い,地味な教会ではあるが,美しいステントグラスの光が,堂内を心地よい,落ち着いた雰囲気にしている.

 ここにはギルランダイオの傑作フレスコ画「聖フランチェスコの生涯」がある.ロレンツォ・モナコという画家の「聖母の婚約」にも心打たれた.英語版のフィレンツェ案内書(ロンリー・プラネット)によれば,モナコはフラ・アンジェリコの師匠ということなので,古い画家なのだろう.

写真:
サンタ・トリニタ教会


 現役の宗教施設なので,入場料はないがギルランダイオの絵があるサッセッティ礼拝堂には,コインを入れると明かりがつく仕組みになっており,私たちも50セント(チェンティ)を投じた.そこには「キリスト誕生」の絵もあって,これも印象深い作品だったが,作者はやはりギルランダイオなのだろうか.





ミケランジェロ広場から
市街を望む