フィレンツェだより
2007年4月7日



 




「緑の回廊」から見た尖塔
サンタ・マリーア・ノヴェッラ教会



§サンタ・マリーア・ノヴェッラ教会付属美術館

妻の通っている語学学校は土,日は休みで,さらに今度の月曜は復活祭の振替休日で3連休となる.フィレンツェ大学も今は復活祭の休暇(ヴァカンツァ)である.


 スーパーなども日,月と連休になるようなので,今日は午前中は中央市場,夕方はエッセルンガに買出しに行った.どちらも連休に備えて,いつにない混み方だった.

 昼食後,今日こそサン・ロレンツォ教会とラウレンティアーナ図書館に行こうと思ったが,確認すると,後者が月・金・土は午後2時までだった,それで予定を変更して,先日サンタ・マリーア・ノヴェッラ教会に行った時,諸般の事情により割愛した,同教会付属の美術館に行くことにした.


「緑の回廊」
 先日買い求めた英語版のガイドブックを眺めた限りでは,それほど見るべきものもないように思えたが,通称「緑の回廊」と言われている修道院の中庭はとても良いところで,天気がよければ,2.5ユーロの入場料を払って,そこにずっといても良いくらいに思えた.

 いきなり幾つかの墓碑が目に入ったが,随分たくさんの墓があるようだった.イタリア語で書かれているもののラテン語で書かれているものあった.昨日のサンタ・クローチェもそうだったが,ラテン語で書かれた墓碑こそ私の腕の見せ所なのだが,すべてがスラスラ読めるわけではないのが情けない.

 ラテン文字でい言うとXとP(実はギリシア文字のキーとロー,キリストを意味する「クリストス」の頭文字)を重ねたキリストの印とその両側にΑとΩ(小文字ならαとω)があり,これも「私はアルファであり,オメガである」というキリストの言葉にもとづいた記述が最初にあることが多い.

 いずれにせよ,ここは死者の魂を弔う場所であるわけだから,過去の人々への敬意を忘れないようにすべきだろう.

 回廊は,15世紀にパオーロ・ウッチェッロと弟子たちによって描かれた,褪色,剥落の進んだフレスコ画で埋まっている.一見すると,随分稚拙な絵に見えるが,少なくとも私たちには古雅な素晴らしいものに思えた.写真はその中でも特に印象に残った場面を撮ったものである.




写真:
「天地創造」(上)
「原罪」(下)
写真:
「楽園追放」(上)



「スペイン礼拝堂」
 「緑の回廊」の北側には「スペイン礼拝堂」と呼ばれている一角がある.トスカーナ大公コジモ(コージモ)1世の妻トレドのエレオノーラに由来を持つものということで,その名称は16世紀の後半以後のものということになるが,建物自体は14世紀に遡り,アンドレーア・ボナイユートの壁画もまた14世紀のものらしい.

 祭壇の向かって左側にはトマス・アクィナスを中心に据えた「カトリックの勝利」という壁画があり,これも印象に残るものだったが,右側の壁画も素晴らしく,この礼拝堂全体が一個の芸術作品と言えるだろう.

 ともかく,サンタ・マリーア・ノヴェッラ教会はすばらしい.今日もまた心洗われる気持ちになって帰路に着いた.




スペイン礼拝堂
祭壇と壁画の前で