フィレンツェだより |
アルノ川に面して サン・フレディアーノ・イン・チェステッロ教会 |
§アルノ川の対岸
様々なことをお教えいただき,お手製の水羊羹をご馳走になり,2匹の優美な猫とも交流させてもらった. 帰りに,いつもアルノ川の対岸から,そのクーポラの姿に惹かれていたサン・フレディアーノ・イン・チェステッロ教会を訪ねることができた. 教会が建ったのは17世紀の終わり頃なので,フィレンツェではそれほど古いものではない.教会自体もカルメル会の修道女たちよって開基されたのが15世紀半ばということで,やはり新しい方だろう. シトー会の人々(チステルチェンシ)によって17世紀に再建されたのが,チェステッロという名のもとになっていると,フィレンツェ市が立てた看板の説明にあったが,フランス語版ガイドブックにはチェステッロというイタリア語(小さな籠)という語に関係させて別の説明があった.
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両側の壁に複数の礼拝堂があり,彫像や絵画があるのは他の教会と同じだが,ここで一番良かったのは,15世紀の画家ヤーコポ・デル・セッラーイオの「キリスト磔刑と聖人たち」だ.帰宅後,中嶋先生が訳された『最新完全版ガイドブック フィレンツェ』を見たら,この絵の名前が挙げてあった.鉄格子の上で火あぶりになっている若く美しい聖ラウレンティウス(ロレンツォ)が印象に残った. フィレンツェでは新しい教会であるし,日本式に言うと国宝,重文級の作品に満ちているわけではないが,内部の美しい空間もさることながら,あの愛らしいクーポラがアルノ川沿いに見えるのはフィレンツェの宝と言っても過言ではないのではなかろうか. ![]()
![]() アルノ川自体は決してきれいな水が流れているとは言えないが,気候もあって,漕艇の練習をしたり,ゴムボートで釣りをしたりという風景が見られた.
![]() ここでは「子豚」(ポルチェッリーノ)と呼ばれ,観光客に撫でられて立派な鼻はピカピカになっている.像の下は水場になっていて,蛙,蟹,蜥蜴の浮き彫りもあったが,これらもピカピカになっていた.この「猪」像を作ったのはメディチ家礼拝堂の「コジモ2世」の巨像の作者ピエトロ・タッカだそうだ.
![]() 今日は,そのワイナリーの息子さんが作っているという「ダ・ヴィンチ」というワインを開けた.クラシコではないキャンティでリザーヴ(リセルヴァ)は珍しいそうで,わが家にしては贅沢だが,15ユーロ弱でこの味は破格に思えるほど美味であった.
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