フィレンツェだより
2007年4月27日



 




オンニサンティ教会
鐘楼は中世,ファサードはバロック



§オンニサンティ教会

明日はテアトロ・コムナーレで,グルック作曲のオペラ「オルフェーオとエウリディーチェ」を演奏会形式で聴くことになっている.指揮はリッカルド・ムーティだ.


 今日その公開練習があると教えていただき,4時の時間に合わせて,午後の遅い昼食を済ませて,ゆっくりと歩いて劇場に向かった.

 ムーティが入ってきて拍手がおこった後,彼が一声発すると,まず団員が起立し,続いて観客も立った.私たちも事情がわからないまま立って黙祷した.近くに座っていた女性が妻に耳打ちしてくれたところによれば,チェリストのロストロポーヴィチが亡くなったとのことだった.

 ムーティはカリスマ性に満ちているように見え,若々しく颯爽とした姿で,時々歌う声がよく響いた.公開練習を見られたのは幸せなことだった.まだ練習は続くようだったが,休憩時間になったところで,後は明日の本番を楽しみにすることにして帰途に着いた.



 今日は日差しが強く,昼は暑かったが,夕方,陽が翳ってからは,川沿いの道を歩き,風に吹かれたこともあって,涼しく感じた.

 オンニサンティ広場まで来て,川向こうの写真を撮っていると,広場の名前のもとになっているオンニサンティ教会が開いているのが見えた.

写真:
オンニサンティ教会の
ファサード

写真:
ファサードにある彩色陶板
「聖母の戴冠と聖人たち」


 先日ウフィッツィで見たジョットの絵も,もともとはここにあったらしい.有名な教会であることは知っていたが,勉強不足もあってなかなか足が向かなかった.が,今日入れてもらって驚いた.ボッティチェルリ(聖アウグスティヌス)やドメニコ・ギルランダイオ(聖ヒエロニュモス慈愛の聖母など)の絵があることもさることながら,その荘厳な雰囲気に圧倒された.

 写真を撮るのも憚られる厳粛な空気が流れていたが,フラッシュを焚かなければ良いということだったので,何度かシャッターを切らせてもらった.でも,暗くてうまく撮れなかった.残念だが,偶然あの場にいる機会を与えられただけでも幸運だったような気がする.現に信仰している人々が通っているのに,異教徒の私たちが何度も行くのは気が引けるが,是非あと何度かは訪れてみたい.

写真:
堂内で写った唯一の写真
リドルフォ・デル・ギルランダイオ
「聖母戴冠」


 オンニサンティ広場はウェスティン・エクセルシオール・フィレンツェやグランドホテル・フィレンツェなど五つ星の高級ホテルが立ち並ぶ地域である.アルノ川沿いで「眺めの良い部屋」がたくさんあるのかも知れない.ライオンと格闘するヘラクレスの新しいブロンズ像もあり,川向こうのサン・フレディアーノ教会のクーポラが夕陽に良く映える.





オンニサンティ広場で
5つ星ホテルをバックに