フィレンツェだより
2008年2月17日



 




ショーウインドに春
チョコレートもミモザの造花にくるまれて



§春先の慌しさ

昨日(2月16日),土曜日恒例のペルゴラ劇場コンサートに行った.先週がそうだと勘違いしていた,チェロのマリオ・ブルネロ(ブルネッロ),ピアノのアンドレーア・ルッケシーニの演奏会である.


 演目は,ブゾーニがチェロとピアノのために編曲したバッハ「半音階的幻想曲とフーガニ短長BWV. 903」,ブラームス「チェロ・ソナタ」,シューマン「アダージョとアレグロ」,ラフマニノフの「チェロ・ソナタ」だった.

 最初の曲は,もとはチェンバロで演奏され,主題の最初の4音がBACHの名前になっているという有名な曲だ.これがすばらしかった.いきなり,2人の演奏に引き込まれた.ブラームスのチェロ・ソナタも,陳腐な表現で恐縮だが「入魂の演奏」で,会場大興奮だった.ラフマニノフはもちろん佳曲だが,やや冗漫な感じもした.しかし,演奏は立派だった.

 アンコールはバッハの無伴奏チェロ組曲の1節をシューマンがピアノ伴奏曲に編曲したものと,ブラームスの「子どものための小さな歌」(と言っていた)で,ともかく良い演奏だった.ただ,地元イタリアの人気演奏家だけに先週に続き大入り満員で,長い時間並んでギリギリでチケットが入手でき,開始直前にようやく座れた.2週連続のハラハラドキドキだった.


タリッファ・アミーカ
 午前中はミラノ旅行のユーロスターの切符を購入するために駅に行った.3月初めにレオナルドの「最後の晩餐」拝観の予約が取れたので,1泊2日でブレラ絵画館なども見てくる予定だ.

先日,福山さんにトレニターリア(イタリアの国営鉄道)にタリッファ・アミーカという割引制度があることを教えてもらい,それを利用して20%割引で切符を購入した.


 自動券売機でも,購入する券の種類を選択するときに「アミーカ」を選ぶと,限定の座席が残っていれば簡単に買える.インターネットの日本語サイトでも「タリッファ・アミーカ」(もしくはタリファ・アミーカ)でグーグル検索すると,情報が得られる.今まで知らなかったのが残念だが,最後に購入する長距離切符に間に合って,その点は嬉しかった.


コーディチェ・フィスカーレ(課税番号)
 帰国前の最後の旅行の手配をしながら,帰国準備も少しずつ進めている.先日,3回に分けて荷物(本)の一部を実家あてに送ったが,岩手の母から,その荷物が全て着いたとメールで連絡があった.実家のPCが不調だったときには,弟の家族を通じて教えてもらっていたが,最後の荷物情報は母が直接知らせてくれた.

 イタリアでも少なからぬ人たちのお世話になっているが,日本にいる私や妻の親兄弟,友人にも大きな恩義を受けている.

 荷物をまず2つ日本に送ったのはまだ1月のことだった.発送に先立って,いくつか買い物をした.まず箱はイタリア郵政省(ポステ・イタリアーネ)特製の箱が丈夫なうえ,レモン色(カナリーイエロー)で目立つので,少し割高になるが,何かおまじない的な期待を込めてそれを購入した.

写真:
郵便局で購入できる
小包用ダンボール箱
いろいろなサイズがある.


 次に,郵便局に荷物を運び込むためのキャスターを駅前の露店で購入した.値段は,最初は10ユーロと言われたが,「また後で来る」と言った瞬間に「8ユーロ!」と言われ,すぐに2ユーロも安くなった.やや信用に欠けるような気もしたが,他であまり見ないタイプの丈夫そうなキャスターだったので,8ユーロなら買っても良いと思い,購入した.

 さらに,重さをしっかり量ろうと,エッセルンガの向かいの量販店で,8ユーロのP.R.C製のヘルスメーターを買った.

 荷物は,パッコ・チェレレ・インテルナツィオナーレ(国際急行小包)で送る予定だった.インターネットで調べたところ,10キロから16キロ(16キロを超すと,いきなり料金が跳ね上がる)までなら134ユーロちょっとだったので,それらの道具を駆使して,きちんと重さを確認し,11キロと14キロの荷造りをして,準備万端のつもりで最寄の郵便局に乗り込んだ.



 郵便局は混んでいる時間帯もあるのに,その時間帯は空いていたので,幸運に思えたが,世の中なんでも思った通りに行くわけではない.小包担当の局員の方とやり取りする過程で「フィスカーレ」という語が出てきてつまづいた.

この小包をパッコ・チェレレ・インテルナツィオナーレ(国際急行小包)で送るには,コーディチェ・フィスカーレ(課税番号)が必要らしいということはわかったが,それがないとこの小包が出せないと言われていることが容易に理解できず,予想外の展開に,私にはままあることだが,パニック状態になり,“固まってしまった”.


 小さな郵便局ということもあり,日本語はもちろん,皆さん英語も殆ど通じないが,それは仕方が無い.こちらのイタリア語の理解力の不足を察知して,一生懸命フィスカーレを英語で言い換えようと努力してくれるのだが,コーディチェ・フィスカーレをフィスカル・コードという英語に対応させても事態は好転しなかっただろう.「課税番号」と訳してよいのかどうかもわからないが,その存在を知らなかったので,八方ふさがりの状況に陥ってしまった.

 しかし,イタリアはさすがに外国人が多い国だ.係りの人も何とか少しでもわかりやすいイタリア語を並べ,私たちとコミュニケーションを継続しながら,海外宛て普通小包(パッコ・オルディナーレ)を提案し,さらにそれには船便と航空便があり,後者だと早いが高いという説明をしてくれた.

 少し迷ったが結局,航空便でお願いすることにした.1個138ユーロ弱,予定よりも少し高かっただけだが,様々な条件が劣るので,できれば当初の予定通りパッコ・チェレレ・インテルナツィオナーレで送りたい,と,その時は思った.

 その後,コーディチェ・フィスカーレは簡単に入手できるし,それについて詳しい情報が得られる日本語サイトがあることも福山さんが教えてくれたが,最初の2箱が10日くらいで日本に着いたので,結局,その後もパッコ・オルディナーレで送り,計7箱とも全てが無事着いた.

 この後,帰国までに本,衣類とも2,3箱ずつ送ることになると思うが,パッコ・オルディナーレで送ろうと思っている.

 コーディチェ・フィスカーレに関しては,私は全く知らなかったが,日本語でグーグル検索しても,ウィキペディアを初め多くのサイトに情報がある.イタリアに一定期間以上滞在する人は知っていた方が便利だ.


姿を現したファサード
 街に出る行き帰りに,コースによっては通りかかるサンタ・マリーア・ノヴェッラ教会のファサードの修復がまもなく終わるらしく,足場や覆いがほとんど取り払われて,その美しい姿を現している.

写真:
ようやく見ることができた
美しいファサード


 何しろ駅の正面にある教会だ.ファサード同様,今はまだ工事中の教会前の広場に,また観光客が集まる日はそう遠くないだろう.





ウインドウに早くもイースター・エッグ登場
1メートルもあるチョコレートの卵
「不思議の国のアリス」