フィレンツェだより |
オル・サン・ミケーレ教会(左) ダンテのパネルのある建物(右) |
§あちらこちらでダンテ
ガイドブックで入れる時間を確認して行ったのだが,今日は教会の行事の都合か,まだ大丈夫な時間のはずなのに,観光客が外に出され始めていて,私たちも遠慮した. オル・サン・ミケーレの外壁には様々な壁龕と像があるが,その中には先日バルジェッロ国立美術館で見たドナテッロの「聖ゲオルギウス」の像がある.本物は大理石だが,教会の壁龕に今あるコピーはブロンズだ.バルジェッロは写真厳禁だったので,今日はコピーだが何枚かデジカメに収めた. 冒頭の写真はその中の1枚だが,教会と渡り廊下でつながった右側の建物に「ダンテ協会」というのが入っているらしい.そのせいかどうかは知らないが,入り口の上方にダンテの古いパネルがはめ込んであった. この建物自体も,中世の雰囲気を残す由緒あるもの(羊毛組合というギルドの建物)らしい.しかし1階には普通の商店も入っている.ダンテ協会の掲示板にはプリンストン大学教授の講演のお知らせもあった. いずれにせよ,オル・サン・ミケーレ教会には入れなかったので,近くにあって,すぐに見られそうな所ということで,ドゥオーモ広場まで戻り,サン・ジョヴァンニ洗礼堂(バッティステーロ)に行くことにした.ダンテも洗礼を受けたという古い建物だ.起源は古代まで遡るらしい. サン・ジョヴァンニ洗礼堂 ギベルティの「天国の門」が有名だが,本物はパネルに分解されてドゥオーモ博物館に展示されているのを先日見た.洗礼堂にあるのはレプリカだが,雰囲気は十分だ. 洗礼者ヨハネの生涯を描いて,ヘロデにヨハネの首を差し出すサロメのパネルもある南門はアンドレーア・ピザーノの作品で,これも印象に残るものだった.サン・ジョヴァンニはフィレンツェの守護聖人である「洗礼者ヨハネ」のことだ. 入場料3ユーロで,それほど芸術性が高いと思われるものがあるわけではないが,天井画はなかなかの迫力である.最後の審判,アダムとイヴの誕生,楽園喪失,ノアの洪水,マリアとキリストの物語,洗礼者ヨハネの生涯など様々な絵柄が,下から見上げていてもよくわかる.
写真の下方には地獄模様が描かれていて,印象に残る.陽の光が差し込むので,写真はうまく撮れないが,一度は訪ねてみて中世の雰囲気を味わうのは悪くはないだろう. 堂内にある,廃位された教皇ヨハネス23世の墓にはドナテッロとミケッロッツォの手が入っているらしい.
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さすがにユーロというくらいなので,イタリアの人物だけでなく,セルバンテスの顔のあるコインもあった. ドゥオーモには,ミケリーノが描いた,よく教科書などに写真がのっている「ダンテとフィレンツェ」の絵があるそうなので,それも是非実物を見てみたい.今度は時間を作ってドゥオーモに行くことにしよう. |
本日のドゥオーモ ファサードの聖画 |
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