フィレンツェだより |
バルジェッロ宮殿の塔 向こうにバディア・フィオレンティーナ教会の尖塔 |
§バルジェッロ美術館
この前行った時に閉まっていた「ダンテの家」を見てこようかと話し合ったが,最新のガイドブックをチェックすると,現在休館中だった.ミケランジェロの遺族の屋敷「カーザ・ブォナローティ」も候補のひとつだったが,午後2時で閉館となる.バルジェッロ国立美術館なら遅い時間までやっているようだから,そっちにしようということになった. ![]()
フィレンツェを象徴する動物としてライオンが好まれているようで,あちこちにライオンの像が見られる.バルジェッロ美術館でも幾つも見られた.市を象徴するライオンを「マルゾッコ」というそうだが,ドナテッロの「マルゾッコ」は一見の価値があった. ドナテッロの作品を多く置いた部屋は天井が高く,広くて,部屋を見るだけでも圧倒される.あの帽子を被った少女のような姿の有名なブロンズのダヴィデ像(別画像)は可憐に見えるが,剣と石を手に,兜をかぶったゴリアテの首を踏みしめている. 同じく大理石のダヴィデ像もあって,こちらもゴリアテの首を踏みしめているが,その額には石が食い込んでいた.オルサンミケーレ教会の壁龕(へきがん)として作られた「聖ゲオルギウス」の像は美丈夫で素晴らしかった.
![]() 遠目に探索した結果,ダンテと思われる姿を発見した.あとでガイドブックで確認したら,やはりこれがダンテだった.
多くのものを見過ごしそうだったが,結果的には一通り見ることができた. ヴェロッキオのダヴィデ像もあった.その部屋には彼の作品が幾つか展示されていて,どれも見事だったが,彼以外の作品ではメディチ家の人々の胸像が印象に残った. 例のロッビア一族のテラコッタ作品も溢れるほどあり,うんざりする一方で,門外漢の私たちでも,その技術の高さには感心せざるを得ない. それほどの美意識を持った人たちが収集したマヨルカ焼きなどの陶器の趣味の悪さにも驚く.私たちと趣味があわないだけだろうが,陶器コレクションの展示は次回からは省略する.
![]() 若い頃の作品である「バッカス」のほかに,授業の資料にも時々使わせてもらっている「ブルトゥスの肖像」,「トンド・ピッティ」と通称されるらしい聖母子(マドンナ・コル・バンビーノ)と幼児の洗礼者ヨハネの未完の像,ダヴィデともアポロンとも言われる未完の立像を見ることができた. 最後のものはやはりダヴィデのように思えるが,圧倒的に素晴らしい.若い頃のバッカス像も後ろ姿には力感溢れる美しさがあり,付き従うシレノスの像が良いと思った.ミケランジェロは本当にすごい. ダニエーレ・ダ・ヴォルテッラという彫刻家のミケランジェロの胸像もあったが,雰囲気十分の作品に思えた. 同じ部屋にジャンボローニャのヘルメス像,チェッリーニのコジモ1世のブロンズの大きな胸像があり,これも素晴らしかったし,他にも見るべき作品が多いように思えた.毎日同じことばかり言っているが,ともかくすごいとしか言いようがない.バルジェッロ国立美術館(「博物館」と書いてあるガイドブックもある),是非行くべし,である.
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![]() 「つもり」と言うのは,確かに私は英語版をレジに持っていったのだが,レジの中年女性が親切で,その本が汚れていたと思ったのか,まだ保護用のビニールに包まれたままの新品に取り替えてくれて,帰宅後見たら,それはスペイン語版だった.仕方がない,単語の見当はだいたいつくところもあるので,スペイン語版を写真を参考にしながら,読むことにしよう.
![]() 4時間近く,傑作の森をさまよったので,へとへとになって帰ってきた. |
本日のドゥオーモ コルソ通りから |
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