フィレンツェだより |
ドゥオーモのクーポラ展望台 (3月31日ジョットの鐘楼より撮影) |
§用事のついでに観光
6ユーロの入場料を払い,長い階段をのぼると,途中クーポラの内部の周回通路に出る.通路からは内陣を見おろすことができて,クーポラの天井画も良く見ることができる. そこから先は,さらに階段が狭くなり,のぼる人と下る人がすれ違うために,何度も中断を余儀なくされながら,やっと頂塔の展望台に着いた.
3月31日にジョットの鐘楼からフィレンツェの街を展望したが,その時と比べて,今は街のどこに何があるかある程度把握しているので,見える風景が少し違って見えた.赤い屋根の群れとも言えるフィレンツェの街はいつでも一定の風景を呈していて,それだけに周りの自然に季節の移り変わりがはっきり現れると思った. 「ダンテの家」博物館 クーポラにのぼる前に行ったのが,「ダンテの家」博物館だ.4月3日に行った時には閉まっていて,なおかつガイドブックに現在改装のため閉館中とあったので,見学はあきらめていたのだが,今日たまたま通りかかったところ開いていたので入館した.入場料は4ユーロだった. もちろん本物のダンテの家は残っておらず,場所も違う所にあったそうだ.建物は20世紀に建てられたものだが,中世風の石造りの外観でそれなりの雰囲気は持っている. ![]()
写真右に見える立て看板の解説によれば,ダンテもまたここでジェンマ・ドナーティと結婚したそうで,扉右側には「ダンテの教会」というプレートがある.堂内には先日フィエーゾレで何作か見ることのできたビッチ・ディ・ロレンツォのフレスコ画があるそうなので,開いている時間に是非訪ねてみたい. ![]()
さらに別の展示コーナーにはラファエル前派のダンテ・ゲイブリエル・ロセッティや,サルバドル・ダリの作品の写真もあり,特にダリのものは「ダンテに地獄を案内するウェルギリウス」の絵で興味深かった.同じ部屋で,ドレの挿絵を見せながら,『神曲』をイタリア語と英語で朗読するヴィデオを上映していた. ![]() ブックフェアー「フィレンツェ 読書する人々の町」 一昨日の話になるが,中央郵便局に行くためにレプッブリカ広場を通ったら,テントがあって何か催し物をやっているようだった. のぞいてみるとブックフェアーで,「フィレンツェ 読書する人々の町」(フィレンツェ・チッタ・デーイ・レットーリ)という5月25日から6月3日までコムーネが主催しているキャンペーンの一環らしく,新刊書を販売しており,一部は割引になっていた.
早速,英語版のフィレンツェの建築物ガイドを半額の10.5ユーロで買った.源氏物語のイタリア語訳が,『アラビアン・ナイト』や『紅楼夢』などのイタリア語版と一緒に並べられているのを見つけた.アーサー・ウェイリーの英訳から重訳したものがあることは,フィレンツェ大学で日本文学を講じておられる鷺山先生から教えていただいて知っており,手に入れやすい普及版であったが,迷ったけれども買わなかった. 今日もう少し丁寧に見たら,古典文学の本もあり,ガルザンティ社の対訳本でカトゥルスの『詩集』と『ギリシア抒情詩集』が売られているのを見つけた.ハードカヴァーで,半額の10ユーロだったので,注解豊富な後者を購入した. ジェラテリーア「ラ・カッライア」 今日は用事があったので外出したのだが,外出先の近くに,おいしいと教えていただいていたジェラテリーア「ラ・カッライア」があるのでちょっと寄ってみた. フィレンツェに来てから,エッセルンガとコープという2つのスーパーのブランドのアイスクリーム(ジェラート)が安くてそこそこうまいので,暑い日のお楽しみにしていたが,ラ・カッライアのジェラートは,それに比べれば値段も高いが,確かにうまかった. 先日通りかかったときは混んでいたのだが,今日は空いていたのと,用事を済ませた後でホッとしていたこともあって,2人で5ユーロの贅沢をした. 今日は観光する予定はなかったにもかかわらず,好機にも恵まれ,予定外に精力的に行動できたのは,このときジェラートで補った糖分のおかげかも知れない.ジェラテリーア「ラ・カッライア」は,カッライア橋のたもとにある.
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カスターニャの塔 「ダンテの家」博物館の窓から 右脇に小さくヴェッキオ宮殿の塔 |
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