フィレンツェだより番外篇
2014年9月11日



 




ヴィットリオ・エマヌエーレⅡ世記念堂の屋上から
ローマの町を一望する



§2014ローマの旅 - その1

6度目のローマである.真夏にフォロ・ロマーノを歩くことには不安があったが,ヴァティカンとボルゲーゼ美術館を予約して見せてくれること,カピトリーニ美術館を再訪できることが魅力で,例によって旅行会社の企画(以下,ツァー)で連れて行ってもらうことにした.


 ボルゲーゼ美術館が,写真撮影OKになっていたことには驚いた.イタリア在住の方の情報だと,国立美術館の運営方針が変わり,ウフィッツィ美術館もフラッシュ無しでの撮影可になったそうである.「ヴィーナスの誕生」の前は,さぞ混雑していることだろう.

 フィレンツェだとウフィッツィもさることながら,アカデミア美術館も撮影可であれば,2階のゴシック絵画は是非写真に収めたいと思ってしまう.ウフィッツィの作品はウェブに写真がアップされていることが多いが,アカデミアやパラティーナだとウェブ上に全くないものも少なくない.

 再び方針が変わらないうちに,フィレンツェに行きたい気持ちに駆られるが,旅行の機会は年に一,ニ度,まだ見ていないところ優先となるので,当面,フィレンツェに行く予定はない.

 大先生の音頭で,大型予算の獲得を目指し,昨年は不採択だったが,再挑戦する予定と聞いている.採択されたら,写本研究のためフィレンツェに行くことも考えているが,この場合はあくまで,ラウレンティアーナ図書館に写本を見に行くのであって,美術鑑賞の優先順位は低い.

 人々の目当てはミケランジェロのダヴィデで,2階のゴシック絵画にはほとんど関心がないのに,2階に行くには長い行列に並ばなければならないアカデミア美術館に,行ける確率は低いだろう.

 将来の話はさておき,今回の旅程は下記の通りであった.

1日目  (2014年8月11日)
 成田発→アムステルダム乗り換え→ローマ着  
 2日目  (8月12日)
 サン・クレメンテ聖堂
 コロッセオ
 フォロ・ロマーノ
 カピトリーニ博物館
 ヴィットリオ・エマヌエーレⅡ世記念堂屋上


 写真:仮面のモザイク
     (カピトリーニ博物館)
 3日目 (8月13日)
  チヴィタ・ディ・バーニョレージョ
  サン・ドナート教会
 
 オルヴィエート
   大聖堂
   大司教博物館


 写真:展望テラスから崖の上の町
     チヴィタ・ディ・バーニョレージョを望む
 4日目 (8月14日)
 サンタ・マリーア・デル・ポポロ教会
 聖イグナティウス・デ・ロヨラ教会
 パンテオン
 サン・ルイージ・デーイ・フランチェージ教会
 サンタゴスティーノ聖堂
 ナヴォーナ広場
 カンポ・ディ・フィオーリ広場
 ボルゲーゼ美術館
 サンタ・マリーア・デッラ・ヴィットーリア教会
 写真:ベルニーニ作 「アポロとダフネ」
     (ボルゲーゼ美術館)
 5日目 (8月15日)
 (終日自由行動)
 ヴィッラ・ジュリア・エトルスコ博物館
 サンタンジェロ城
 サン・シルヴェストロ・イン・カピーテ教会
 サンタ・マリーア・イン・アクィーロ教会
 アルテンプス宮殿 国立考古学博物館


 写真:夫婦の寝棺
     (ヴィラ・ジュリア・エトルスコ博物館)
 6日目 (8月16日)
 ヴァティカン
  絵画館
  キアラモンティ博物館
  ピオ・クレメンティーノ博物館
  ラファエロの間
  ボルジアの間
  システィーナ礼拝堂
  サン・ピエトロ大聖堂

 写真:ミケランジェロ作 「ピエタ」
     (サン・ピエトロ大聖堂)
 7日目 (8月17日)
 ローマ発 アムステルダム経由で,翌日帰国 


 今期担当している講義の登録者を合計すると1100人で,その採点に10日以上かかって,今回は全く予習できなかった.自由時間にどこに行くかすら考えていなかった.

 現地で情報収集すべく,PCを持って行ったが,ホテルのフロントでもらったIDとパスワードでWi-Fiがつながらないという今どき「あり得ない」状況になり,苦情に対しては,PCの設定に問題があるということになって,まったくインターネットが使えなかった.ロシアですら問題は無かったのに,どうかしているとしか思えない.

 インターネットでその宿の評判を見ると,Wi-Fiの接続料が高いというものが多く,さすがにその点は改善されて,無料になっていたが,無料でもつながらなければ意味はない.自分が翻訳を担当した,ローマの思想家にして,政治家の名を冠した宿ではあったが,たまたまその名を冠した通りに面していただけで,もちろん宿の経営方針とは全く関係が無い.もしキケロがインターネット時代に生きていて,自分の名を冠した宿で,Wi-Fiが繋がらなければ,歴史に残る弾劾演説を後世に残していたかも知れない.

 結局,自由行動の日は,前から気になっていた念願のサンタンジェロを見た後,バスを乗り継いでバルベリーニ広場まで行き,そこから歩いてバルベリーニ宮殿の古典絵画館に向かった.前回は改装中で,一部の作品が見られなかったが,近頃,改装が終了したと聞いたからだ.

 しかし,門は閉ざされていた.「聖母被昇天」の祭日なので,閉館時間が通常より早いのかと思ったが,翌日,ツァーに参加されている方が,午前中に行ったのに閉まっていたとおっしゃっていた.聖母被昇天の休日でも,国立の美術館は「全て開館」と言う情報を下さった現地の日本人ガイドの方は,「ストライキだろう」とおっしゃっておられた.

 古典絵画館には行けなかったが,それでも,バス乗り継ぎの成功体験を得たので,これはこれで良しとする.おかげで,アルテンプス宮殿の考古学博物館をじっくり鑑賞できて,なおかつ新しい知見が得られた.それについての報告は,別途する.

 何と言っても,ローマには見るべきものが多い.今回も,多くのことを学んだ.






部屋に戻って,撮ってきた写真を確認
ホテルはチチェローネ(キケロ)