フィレンツェだより |
サン・ミケーレ・ヴィスドミニ教会(左) ドゥオーモ(右) |
§プレゼピオ鑑賞,ラストスパート
チェントロに向かう途中のボルゴ・オンニサンティには骨董(アンティキタ)屋が多い.今日は,よく覗く店のショーウインドのひとつに,イーゼルに架けられた1枚の絵が飾られているのを見つけた. 足元には街の本屋で最近よく見かける『もう一つの美 フランチェスコ・フリーニ』が置いてある.この絵がフリーニの作品だというアピールなのだろうか.けっこうそれらしい絵だ.
足元に置かれた本は,タイトルからすると,現在ピッティ宮殿の銀器博物館で開催中のフリーニ展(2007年12月22日から2008年4月27日まで)のカタログだろう.表紙の絵は同じピッティ宮殿のパラティーナ美術館所蔵のフリーニ「ヒュラスとニンフたち」の部分だ.美少年に妖艶な裸体女性たちがまとわりついている. この特別展のことは,ボローニャ在住の日本人で美術史専攻の方に教えていただき,是非見に行かなければと思っている.評判の良い特別展とのことで,とても楽しみだ. フリーニという17世紀の画家について特によく知っているわけではないが,パラティーナの作品の題目はギリシア神話だし,ギリシアの牧歌詩人テオクリトスやローマの恋愛詩人プロペルティウスの詩に用いられた題材でもあり,つい先日書いた原稿で扱ったくらいだから,よく知っている. フリーニの絵は,ローマではバルベリーニ美術館で「ユディットとホロフェルヌス」を見た.フィレンツェではパラティーナの他に,ホーン美術館(2点)で見ることができる. ![]() ヴィスドミニ教会 アルファーニ通りで用事を済ませた後は,サン・ミケーレ(ミケリーノ)・ヴィスドミニ教会(以下,ヴィスドミニ教会)とサン・ジョヴァンニーノ・デーイ・スコローピ教会(以下,スコローピ教会)を回ることにしていたので,まずセルヴィ通りをドゥオーモの方に進み,ヴィスドミニ教会に向かった. ここにはポントルモの「聖家族と聖人たち」をはじめ何点かの興味深い絵がある.あわよくば昨日のサンタ・トリニタ同様,この教会で見られる作品の作者と絵柄をすべて確認しようと思ったが,いかんせん暗い上に,ポントルモ以外には説明もついていないので,よくはわからなかった. おぼろげながら見えた絵柄から推測すると,右翼廊の壁にかかった絵がエンポリの「キリストの誕生」(ナティヴィタ)だと思う.
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飼い葉桶でイエスが両手を広げている.中央祭壇の前にもすやすや眠るイエスの人形が置いてあった. サン・フェリーチェ・イン・ピアッツァ教会 ヴィスドミニ教会を辞して,プッチ通りを直進しスコローピ教会に向かったが,開いていなかった.4時半にもなれば大抵の教会は開いているが,この教会が開くのはいつも5時過ぎだ.すぐにあきらめて,ヴェッキオ橋を渡り,アルノ川の向こうのサン・フェリーチェ・イン・ピアッツァ教会に向かった. この教会にもボッティチェルリ工房の「3人の聖人たち」を初めとして,何度も見たいと思う絵があるので,拝観はいつも楽しみだ.ヴィスドミニ教会よりは堂内が明るいので,絵は比較的良く見える.
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人によっては,作者をフィリピーノ・リッピと推測する「3人の聖人たち」をはじめ,ビッチ・ディ・ロレンツォのフレスコ画「腰帯の聖母被昇天」,伝アンブロージョ・デッラ・ロッビアの彩釉テラコッタの像「キリスト降架」などを比較的丁寧に見ることができたし,ほとんどの作品は作者を確かめることができた.これからも,この教会には何回かは通って,飾られている作品をしっかり記憶に焼きつけたい. |
サン・フェリーチェ・イン・ピアッツア教会 中央祭壇左の礼拝堂にプレゼピオ |
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