『アエネイス』講読 (第1巻157-161行) |
(テクスト)
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(語彙) |
157行 (テクストへ) Defessi:第3活用第1形の形式受動相(能動相欠如)動詞defetiscor, defetisci, desessus sum「疲れる,疲弊する」の完了分詞・男性・複数・主格.Aeneadaeに一致 Aeneadae:複数で使われる第1変化・男性名詞Aenead-ae, -arum, m.pl.「アエネアスの子孫,アエネアスの仲間たち」の単数・主格 quae:関係代名詞qui, quae, quodの中性・複数・主格.先行詞はは後出のlitoraで,関係文の動詞が省略されており,litora quae (sunt) proxima「最も近い岸辺」と考える proxima:副詞propeには形容詞形がないが,比較級,最上級には形容詞形があり,それぞれpropi-or, -ius, proxim-us, -a, -umになるが,その最上級「最も近い」の中性・複数・主格.関係文の中で主語(litoraを受ける関係代名詞)の補語 litora:第3変化・中性名詞litus, litoris, n.「岸辺,海岸」の複数・主格 cursu:第4変化・男性名詞curs-us, -us, m.「走行,走路」の単数・奪格.「走ることによって」→「走って」→「疾走して」→「急いで」」 |
158行 (テクストへ) contendunt:第3活用第1形動詞contendo, contendere, contendi, contentum「〜しようとする,努める,急ぐ」の直説法・能動相・現在・3人称・複数.「歴史的現在」で意味は過去.主語は「アエネアスの一党」 petere:第3活用第1形動詞peto, petere, petivi, petitum「求める,探す」の不定法・能動相・現在 et:接続詞「〜と,そして」 Libyae:第1変化・女性名詞Liby-a, -ae, f.「リビア,北アフリカ」の単数・属格.カルタゴは現在のチュニジアにあるので,現在のリビアに近いが,ギリシア語でリビュア(リビュエー)という時,現在のリビアよりも広く北アフリカを指すことが多い.ラテン語では現在の北アフリカの意味で「アーフリカ」を使うので,ここではもう少し狭い地域と考えても良いし,北アフリカ一般でも良いように思う vertuntur:第3活用第1形動詞verto, vertere, versi, versum「向ける,転ずる,帰する,掘り返す,破壊する,変える」(英語のturnの語感に近い)vertunturの直説法・受動相・現在・3人称・複数.他動詞の受動は自動詞の能動の意味で使われるので,ここでは「向ける,向かわせる」が「向けられる,向かう」の意味になると考えれば良い.「歴史的現在」で意味は過去.主語は「アエネアスの一党」 ad:対格支配の前置詞「〜へと」 oras:第1変化・女性名詞or-a, -ae, f.「縁,へり,海岸,地域」の複数・対格 |
159行 (テクストへ) est:不規則動詞sum, esse, fui, (futurus)「〜がある,〜である」の直説法・能動相・現在・3人称・単数.主語は後出のlocus in:奪格支配の前置詞「〜で,〜に」 secessu:第4変化・男性名詞succes-us, -us, m.「隠棲,独居,孤独,隠れ家,奥まった場所,奥」の単数・奪格 longo:第1・第2変化形容詞long-us, -a, -um「長い」の男性・単数・奪格 locus:若干不規則な第2変化・男性名詞(複数は中性loc-a, -orumの場合が多い)loc-us, -i, m.「場所」の単数・主格 insula:第1変化・女性名詞insul-a, -ae, f.「島」の単数・主格 portum:第4変化・男性名詞prtt-us, -us, m.「港,避難場所」の単数・対格 |
160行 (テクストへ) efficit:第3活用第2形動詞efficio, efficere, effeci, effectum「作り出す,生み出す,形成する」の直説法・能動相・現在・3人称・単数.歴史的現在.主語はinsula obiectu:第4変化・男性名詞obiect-us, -us, m.「張り出すこと,突き出ること」の単数・奪格 laterum:第3変化・中性名詞latus, lateris, n.「側,側面,脇腹」の複数・属格 quibus:関係代名詞qui, quae, quodの中性・複数・与格.先行詞はlaterum omnis:第3変化形容詞omn-is, -e「全ての,あらゆる」の女性・単数・主格.次行のundaを修飾 ab:奪格支配の前置詞「〜から」 alto:第1・第2変化形容詞alt-us, -a, -um「高い,深い」の中性・単数・奪格.名詞化して「沖の海,海」 |
161行 (テクストへ) frangitur:第3活用第1形動詞frango, frangere, fregi, fractum「砕く」の直説法・受動相・現在・3人称・単数.歴史的現在.主語はunda.「砕かれる」→「砕ける」 inque:対格支配の前置詞「〜へと」+後接の接続詞-que「〜と,そして」 sinus:第4変化・男性名詞sin-us, -us, m.「湾曲,くぼみ,湾,入り江」の複数・対格 scindit:第3活用第1形動詞scindo, scindere, scidi, scissum「切る,裂く,分ける」の直説法・能動相・現在・3人称・単数.歴史的現在.主語はunda.再帰代名詞をとっているので,「自分を裂く,割る」→「裂ける,割れる」 sese:再帰代名詞の対格seの別形.単複同形だが,undaを受けるのでここでは単数 unda:第1変化・女性名詞und-a, -ae, f.「波」の単数・主格 reductos:第3活用第1形動詞reduco, reducere, reduxi, reductum「引き戻す,連れ戻す」の完了分詞・男性・複数・対格.sinusを修飾して湾(入り江)が奥まっていることを意味していると考える. |
(試訳)
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