『アエネイス』講読 (第1巻136-141行) |
(テクスト)
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(語彙) |
137行 (テクストへ) maturate:第1活用動詞matur-o, -are, -avi, -atum「熟する,急ぐ,急がせる」の命令法・能動相・現在・2人称・複数 fugam:第1変化・女性名詞fug-a. -ae, f.「逃走,逃避」の単数・対格 regique:第3変化・男性名詞rex, regis, m.「王」の単数・与格+後接の接続詞-que「〜と,そして」.「お前たちの王」は風の神アエオルス(アイオロス)を指す haec:指示代名詞hic, haec, hoc「これ,この」の中性・複数・対格.「このこと」=「以下に述べること」 dicite:第3活用第1形動詞dico, dicere, dixi, dictum「言う,伝える」の命令法・能動相・現在・2人称・複数 vestro:第1・第2変化の2人称・複数の所有形容詞vest-er, -ra. -rum「あなた方の,お前たちの」の男性・単数・与格.「王」を修飾 |
138行 (テクストへ) non:否定の副詞「〜でない」.illiを否定し,次行のsed「しかし」と連動して,「彼にではなく,(次行の)私に」 illi:指示代名詞ille, illa, illud「あれ,あの」の男性・単数・与格.ここでは「あの者」でも良いが,3人称の人称代名詞の代用として「彼」(アエオルス)と考える imperium:第2変化・中性名詞imperi-um, -i, n.「指揮権,支配権,支配領域,帝国」の単数・対格 pelagi:第2変化・中性名詞(複数形はなく,対格も主格と同形となる.男性型の主格で中性になる数少ない例)pelag-us, -i, n.「大海,大海原」の単数・主格 saevumque:第1・第2変化形容詞saev-us, -a, -um「厳しい,峻厳な,厳粛な,残忍な」の男性・単数・対格+後接の接続詞-que「〜と,そして」.-queがあるので,この形容詞は後ろのtridentemを修飾 tridentem:第3変化形容詞tridens, tridentis, adj.「三叉の,三つの歯がある」の男性・単数・対格.ここでは名詞化してネプトゥヌス(ポセイドン)の王権の印である「三叉の矛」 |
139行 (テクストへ) sed:接続詞「しかし」.前行のnonと対応して,英語のnot..., but mihi:1人称の人称代名詞ego「私」の単数・与格 sorte:第3変化・女性名詞sors, sortis, f.「籤,運,巡り合わせ」の単数・奪格 datum:不規則動詞do, dare, dedi, datum「与える」の完了分詞・男性・単数・主格.前行のtridentemに一致している.esseを補って考え,「与えられたということを,言え」という風になるが,厳密には三叉の矛と支配権であれば,男性・複数形になるdatosであろうが,直前の「三叉の矛」に一致させている.-queが付随や説明を意味しているなら,中性と考え,imperiumに一致させても良いかもしれない Tenet:第2活用動詞teneo, tenere, tenui, tentum「保つ,保持する,支配下に置く」の直説法・能動相・現在・3人称・単数.主語は次のille ille:指示代名詞ille, illa, illud「あれ,あの,かの」の男性・単数・主格.「あの男」でも良いし,3人称の人称代名詞の代用として「彼」でも良い.いずれにしてもアエオルスを指す immania:第3変化形容詞imman-is, -e「巨大な,奇怪な,恐ろしい」の中性・複数・対格.saxaを修飾 saxa:第2変化・中性名詞sax-um, -i, n.「岩」の複数・対格 |
140行 (テクストへ) vestras:第1・第2変化の所有形容詞vest-er, -ra, -rum「あなた方の,お前たちの」の女性・複数・対格.domosを修飾 Eure:第2変化・男性名詞Eur-us, -i, m.「南東風(の神)エウルス(エウロス)」Eureの単数・呼格 domos:第4変化名詞だが,所々に第2変化・男性型の形が混じる女性名詞dom-us, -us, f.「家」の複数・対格.この形(ドモース)は第2変化だが,第4変化の形(ドムース)もある. illa:形容詞的にも使われる指示代名詞ille, illa, illud「あれ,あの,かの」の女性・単数・奪格.行末のaulaを修飾 se:文章の動詞の主語と同じものを指す再帰代名詞の男性(3性同形)・単数・対格.アエオルスを指す iactet:第1活用動詞iact-o, -are, -avi, -atum「投げる,送り出す,広げる,広言する」の接続法・能動相・現在・3人称・単数.主語はアエオルスだが,独立文の接続法なので,話者(ネプトゥヌス)の意志,願望を表す in:奪格支配の前置詞「〜で,〜において」 aula:第1変化・女性名詞aul-a, -ae, f.「宮殿」の単数・奪格 |
141行 (テクストへ) Aeolus:第2変化・男性名詞Aeol-us, -i, m.「(風の神)アエオルス(アイオロス)」の単数・主格 et:接続詞「〜と,そして」 clauso:第3活用第1形動詞claudo, claudere, clausi, clausum「閉じる,閉ざす,閉じ込める」の完了分詞・男性・単数・奪格.同行のcarcereを修飾 ventorum:第2変化・男性名詞vent-us, -i, m.「風」の複数・属格 carcere:第3変化・男性名詞carcer, caceris, m.「傷害,牢獄」の単数・奪格.この奪格は「牢獄で」支配するという手段の奪格,もしくは前置詞なしの詩的用法で場所の奪格と考えるか,前行のinの支配が続いていると考える.一応,inに支配されていると考える. regnet:第活用動詞regn-o, -are, -avi, -atum「支配する,君臨する」の接続法・能動相・現在・3人称・単数. 主語はアエオルスだが,独立文の接続法なので,話者(ネプトゥヌス)の意志,願望を表す , |
(試訳)
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